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植物愛が止まらない! 甲南女子大学ボタニカルツアー

14植物の世界へようこそ

植物愛が止まらない!
甲南女子大学ボタニカルツアー

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六甲山の山裾に位置する甲南女子大学は、見晴らしの良さもさることながら、緑の豊かさもピカイチ。キャンパス内だけで約100種類、大学所有の裏山(ふれあいの森 里山体験フィールド)も合わせると推定300〜400種類の植物が集う、植物の宝庫なのです。
そこで今回は、甲南女子大学のキャンパス&裏山を舞台にしたボタニカルツアーを企画。「いつもの授業感覚でよければ喜んで!」と、人間科学部生活環境学科の松村俊和先生が案内役を引き受けてくださいました。植物愛とユーモアに満ちあふれた松村先生のお話を伺いながら、美しくもたくましい植物の素顔に迫っていきます!

※植物の開花状況は、取材を行った3月下旬時点のものになります。

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松村俊和教授(人間科学部 生活環境学科)
専門分野は植物生態学。おもな研究テーマは、身近な植生、里山や里地の植生。近年は草原植生をメインに調査・研究を行う。

キャンパスを彩る植物たちは
したたかな戦略家だった!?

松村先生、今日はボタニカルツアーのご案内、よろしくお願いします。

松村先生:お天気もよく、絶好のツアー日和になりましたね。では早速、出発しましょう!

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松村先生:まずはキャンパスの入口のほうへ……と思ったんですけど、ここ(中庭)で一つご紹介していいですか? そこに細い葉っぱが飛び出しているでしょう。これはツルボという植物で、秋のお彼岸頃に紫色のきれいな花を咲かせます。普通は田舎のあぜ道などに生えていて、こんな都会の大学の中で見られるのは非常にレアです。

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松村先生:ここに大学ができる前、田畑があった頃に群生していたツルボの生き残り、もしくはその種からできた子孫だと思われます。つまりこのツルボは、甲南女子大学の大先輩なんですよ。

そんなに貴重な植物がさりげなく生えているなんて。発見した先生もさすがです。

松村先生:5年ほど前の開花時期に初めて気がついて、慌てて庭園管理の業者さんに「ツルボの部分は刈らないで」とお願いしました。そうしたら自然とツルボの周りだけ芝生が残され盛り上がり、ミステリーサークルっぽくなりました(笑)。

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確かに知らない人は雑草と思って刈ってしまいそう。先生はツルボの救世主ですね!

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開花時期に先生が撮影したツルボの花。
写真提供:松村先生

松村先生:大学の歴史を物語る草花ですから、元気に生き続けられるようにほんの少し手助けをしたまで。学生にも存在を知ってもらい、みんなで大切にしていきたいですね。

では今度こそ、キャンパスの入口付近へ。池の周りがちょっとした植物ゾーンになっています。

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松村先生:この時期(3月末)は何といってもサクラですよね。池のほとりには、早咲きのカワヅザクラや定番のソメイヨシノ、遅咲きのシダレザクラなど、いろんな種類のサクラが植えられています。カワヅザクラは10日ほど前まで満開でしたが、もうすっかり葉桜ですね。

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カワヅザクラは例年3月中頃が見頃だそう。

松村先生:今回はあえてサクラの葉に注目してみましょう。葉の付け根の辺りをよーく見てください。透明の小さな粒が付いているの、わかりますか?

あっ、ありますね。1mmにも満たない小さな粒が。先生、これは一体……?

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松村先生:サクラが分泌している蜜なんですよ。蜜といえば、花の蜜をイメージすると思いますが、花は咲き終わっています。そこでクイズです。サクラは今ごろ何のために葉っぱから蜜を出しているのでしょうか?

花の蜜と同じく、虫をおびき寄せるため? でも、花粉が付いているわけでもないし……目的がさっぱりわかりません。ヒントをください〜!

松村先生:葉桜と聞いて思い浮かぶ虫は?

毛虫! 葉桜の下にいると、たまに落っこちてきますよね。まさか、毛虫をおびきよせるための蜜?

松村先生:毛虫は合っていますが、おびき寄せているのは毛虫じゃないです。彼らのお目当ては柔らかくておいしい葉っぱ。たくさん食べられると、サクラは成長できなくなります。だからサクラとしては、毛虫を減らしてくれる虫に来てほしいわけです。幹や枝のところにアリが這っているのを見たことはないですか?

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ようやく答えが見えてきました! アリをおびき寄せるための蜜ですね。そして蜜を求めてやって来るアリがついでに毛虫を食べてくれる……? 体格差があり過ぎでは?

松村先生:アリが食べるのは毛虫の成虫ではなく、幼虫や卵です。蜜と毛虫のどちらがお好みなのかはアリに聞いてみないとわかりませんが、ご飯のついでにおかずも食べちゃうみたいな感じかな。毛虫の卵はテイクアウトかもしれませんね。

アリを巧みに操って自分の身を守る。サクラはなかなかの策士ですね。

松村先生:サクラだけじゃありませんよ。こちらのヒイラギも葉に鋭いトゲを付けることで、シカやウサギなどの外敵から身を守っています。でも、すべての葉にトゲが付いているわけではないんです。

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松村先生:ほら、上のほうの葉はトゲがなく、丸みを帯びているでしょう。もともとは全部にトゲがなくて、動物に食べられやすい高さまでトゲを付けるというふうに進化したと考えられています。植物自身が意図して形を変えたのではなく、進化の過程でたまたまそうなって生き残りに成功したのでしょう。

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松村先生:あそこの黄色い花はミモザ。フサアカシアともいいます。3月8日の国際女性デーのシンボルフラワーで、海外では女性にミモザを贈る習慣があるとか。日本でも人気が高まり、庭木などでよく見かけるようになりました。実はマメ科植物なので、5月頃にマメがたくさん付くんですよ。

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ミモザにマメが! 年間を通じて植物を観察すると、おもしろい発見がありそうです。

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アベリアの根元に自生したマンリョウを発見。松村先生いわく「鳥が落としたフンの中に実がそのまま残っていたのかも。刈られにくい場所でうまいこと育ちましたね」とのこと。

松村先生:大きめの植物も一つ紹介しておきましょう。管理棟の左手にある、樹齢約55年の立派なケヤキです。街路樹や高級木材としておなじみの木ですが、樹皮におもしろい特徴があります。このように樹皮がポロポロと剥がれるんです。なぜだと思いますか?

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シカ対策? 皮を食べられないようにとか……。

松村先生:答えはずばり、ツル植物対策です。ケヤキは本来、渓流沿いに生えることが多いのですが、その辺りはツル性植物の繁殖地でもあって、放っておくとツルが幹に絡みついて生育が妨げられます。そこでツルを払いのけるために、樹皮をランダムに落とすようになったのではないか、といわれています。この仮説通りだとしたら、見事な生存戦略ですよね。

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まさに身を削って生き延びようとしているケヤキが、なんだか愛おしく思えてきました。

松村先生:そうでしょう! 名前や分類だけを聞いても「ふーん」って感じですけど、詳しい生態を知ると愛着が湧いてくるものです。では、そろそろ裏山のほうへ向かいましょうか。山に自生する植物はさらに多様で見応えがありますよ!

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キャンパス北側の階段を上ると、すぐに裏山へ行くことができる。

多様な植物がともに生きる
裏山ゾーンへ潜入!

松村先生:あっ! ヒメウズの花がまだ咲いていますね。うつむき加減で咲いている、小さな白い花。今年は開花が早まったので、種の付いた株もありますね。

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わぁ、かわいらしいお花! ヒメウズ、初めて聞いた名前です。

松村先生:春先のまだ寒い時期、ほかの植物よりひと足早く花を咲かせ、種を落としたらすぐに目立たなくなります。このような性質を持つ早春の草花を総じてスプリング・エフェメラル、春の妖精と呼びます。儚くて潔い、僕のお気に入りの植物です。

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松村先生:あ、センダンの実も発見。果肉の中の種は、ラグビーボールに溝を付けたようなおもしろい形をしています。植物が動けるのは、このように種になったときと、花粉のときだけ。風や昆虫などの力を借りて、できるだけ多くの子孫を残そうとします。子どもの頃にタンポポのわた毛を吹いたように、私たち人間も時々協力しているんですよ。

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あれ、こんな山の中にウッドデッキが。何のスペースですか?

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松村先生:地域の子どもたちを招いて野外活動をするときなどに利用しています。デッキの一部に囲炉裏がこしらえてあり、火起こしの練習もできます。ここ、ドングリがいっぱい落ちてますね。

ドングリってそもそも何の木の実なんでしょう?

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松村先生:カシ、ナラといったブナ科植物の果実全般を指します。この辺に落ちているドングリはおそらくアベマキやコナラの実ですね。

家に持ち帰ってしばらくすると、芋虫がうじゃうじゃ出てきたりするのは、ゾウムシなどが実の中に卵を産み付けていたから。孵った幼虫は身を隠しながらしっかりゴハンも食べられるという賢いやり方です。虫が苦手な人にとっては恐怖でしかないと思いますが(笑)。

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ウッドデッキのそばに咲いていたクサイチゴの花。初夏に実るイチゴは「食べられるけど、そんなにおいしくないです」と松村先生。
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山菜としておなじみのフキの仲間、ツワブキの姿も。一般的なフキよりも葉の色が濃く、年中青々と生い茂っているそう。

松村先生:こちらは先ほど実を拾ったアベマキの木。幹を触ってみてください。見た目はゴツゴツしていますが、少し弾力のある独特の質感をしていますよね。これとよく似ているのが、ヨーロッパで栽培がさかんなコルクガシ。そう、ワインなどの栓に使われているコルクの原料です。日本では戦時中、アベマキの樹皮をコルク代わりにしていたそうですよ。

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へぇ〜、木の性質もおもしろいし、それを暮らしに活かしてきた先人の知恵も素晴らしい。

松村先生:しかし、材木や燃料として木を消費する機会が減ったことで、山林の様子もずいぶん変わってきました。例えば、ここに生えているオケラという植物。昔は雑木林などでよく見かける草だったのですが、今では兵庫県の準絶滅危惧種に指定されるほど激減しています。人に切られることなく木が大きく成長した結果、日光が遮られてオケラのような下草が育ちにくい環境になっているんです。

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松村先生:ここに生えているキンランというランの仲間も同じ理由で全国的に数が減っていて、環境省のレッドリストでは「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。毎年5月頃に開花するキンランの花も、このままだと近い将来、幻の花になってしまうかもしれません。

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写真提供:甲南女子大学広報課

木にとってはいいのかもしれませんが、植物の多様性という意味では深刻な問題ですね。

松村先生:まずは「知る」ことが大事なんですけど、山菜やキノコを採りに山へ行くとか、頻繁に出入りしていないと変化に気づきにくいですよね。そんなことを言っていたら、春の山菜の代表格・タラの芽が。木の表面にめちゃくちゃ鋭いトゲが付いているので、気をつけてくださいね〜。

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ツリーハウスを経由して
ボタニカルツアーはまだまだ続く!

松村先生:ツリーハウスが見えてきたので、もうすぐ折り返し地点ですよ。ツリーハウスは先ほどのウッドデッキ同様、子どもたちの野外活動のときに開放しています。2010年の学園創立90周年を記念して、ツリーハウスクリエイターの小林崇さんに作っていただいたものです。

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ウワサには聞いていましたが、実物を見るのは今回が初めてです! 支えているのは……さっきも見た、アベマキの木?

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松村先生:正解です! 近づいてみると、横からボルトを刺して固定しているのがわかりますね。木は外縁に生きている層があるので、幹をぐるっと巻いて固定するよりも、こうして一箇所だけを刺すほうが、比較的優しいやり方なんです。では、中に入ってみましょうか。

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松村先生:窓からの眺めもいいでしょう。柱をよじ登って屋根裏に上がることもできます。子どもならずともワクワクしちゃいますよね。

見たところ、ボルトなどの金具や窓ガラス以外は木と土だけで作られているようですね。温かみが感じられて、なんだか癒されます。

松村先生:ゆっくり寛いでいただきたいところですが、そろそろツアーの続きを(笑)。

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松村先生:先ほど、昔は木がよく切られていたとお話しましたが、その痕跡がこれ。根元で二手に分かれていますよね。木が切られたあと、切り株の横から新しい芽がいくつか出てきて、そのまま大きくなるとこのような姿になります。

「オレは昔、人間に切られたんだよ」と、声なき声を発しているんですね。切られても再生できるとは、植物ってたくましい。

松村先生:ところで、3〜4月頃に外でガス臭さを感じたことはありませんか?

あります、あります! つい最近も!

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松村先生:あの匂いの正体がこれ、ヒサカキの花です。同じ仲間のハマヒサカキという植物が住宅の生垣などによく使われているため、住宅地でもヒサカキ同様のガスっぽい匂いが漂うんです。僕は、毎年この匂いを嗅ぐたびに春だなぁと感じます。

花の匂いで季節を感じ取るってステキですね〜。

松村先生:匂いつながりでもう一つ紹介しましょう。これは、ヤブニッケイといってシナモンの仲間です。葉っぱをちぎって匂いを嗅いでみてください。

あ、どことなくシナモンに似た上品な香りが!

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松村先生:人間にとっては結構いい香りですよね。ところが昆虫にとってはイヤな匂いなんです。つまり、ヤブニッケイは虫を遠ざけるためにわざわざ匂いを出しているんです。

後ろに生えているクスノキも香りの強い樹木で、日本では古くから樟脳(しょうのう)の原料として使われてきました。“おばあちゃん家のタンスの匂い”といえば、ピンと来ますかね? 衣類の防虫剤はもともと植物の虫除けパワーを拝借して作られたものなんですよ。

そうだったんですね! ヒサカキの花みたいに人間が好まない匂いを虫が好み、シナモンみたいに虫が嫌がる匂いを人間が好むって不思議ですね。

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松村先生:おっ、ヤマザクラが満開ですよ。タイミングよくウグイスのさえずりも! ちらほら葉っぱも見えますが、花の終わりかけというわけではなく、花と葉が一緒に出てくるのがヤマザクラの特徴です。

ソメイヨシノほど華やかではないけれど、こちらも趣があってきれいですね〜。

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松村先生:ちなみにソメイヨシノの名前の由来をご存じですか? サクラの名所と関係しています。

あっ、ヨシノは奈良県の吉野のことでは? うーん、ソメイって何のことだろう……?

松村先生:実は、ヨシノもソメイも地名なんです。ヨシノはお答えの通り、奈良県の吉野村のことで、ソメイはその昔、江戸にあった染井村を指します。その染井村で、吉野に負けない立派なサクラを作ろう! と品種改良に取り組み、出来上がったのがソメイヨシノだといわれています。

先生のおかげでまた一つ、植物の豆知識が増えました。ドヤ顔で誰かに話したいです(笑)。

松村先生:では、名前にちなんだクイズをもう1問。この木は、ケヤキと同じく皮がポロポロ剥がれ落ちる性質があり、見ての通り、独特の模様をしています。この模様を手がかりに木の名前を当ててください。難しめなので半分答えを言っちゃうと、4文字で〇〇ノキです。

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うーん、マダラノキ? ウロコノキ? それだと文字が多すぎますね。もう少しヒントを!

松村先生:ある動物と関係しています。今日名前が出てきた動物です。

はい、わかりました! シカノキ!

松村先生:惜しい! シカは合っています。シカにちなんだ模様を何と言いますか?

鹿子模様のカノコ! カノコノキ、ですか?

松村先生:正解! と言いたいところですが、カノコを縮め、さらに濁りも加えた、カゴノキが正解です。

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難易度高過ぎです(笑)。でも、このプロセスのおかげでちゃんと覚えられた気がします。見た目が特徴的だから、見つけるのは簡単かも。

松村先生:そうやって名前のわかる植物が増えると、ハイキングなどの楽しみも広がりますよ。と、20歳前後の学生に話しても反応は薄めですが(苦笑)、若い頃ってそういうものですよね。

だから、なるべく興味を持てるように身近な例を出しながら案内しているんです。例えば、このクチナシの実だったら「栗きんとんの着色料ですよ」とか、私たちの生活の中で植物がどんなふうに役立っているかを実感してもらえるよう心がけています。

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キャンパスでひと際目を引く
あの木やこの木も要チェック!

松村先生:そうこうしているうちに山の出口に着いちゃいました。せっかくなので、キャンパス内でまだ通っていないルートも歩いてみましょう。

前から気になっていたのですが、あの南国っぽい木たちは?

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松村先生:フェニックス、別名カナリーヤシですね。あ、あんなところに別の植物が着生してる! ほら、フェニックスの幹から別の植物が飛び出ているでしょ。形状からして、おそらくイタドリでしょう。

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ほんとだ! どうやってあんなところに。

松村先生:風に運ばれたか、鳥が落としたかで、種が偶然あそこにくっついたんでしょう。ヤシから養分を奪い取って生きる「寄生」ではなく、間借りをしているだけの「着生」ですね。

すごいところで間借りしていますね(笑)。

松村先生:本当にたくましい限りです。理想的な環境でなくても、なんとか生き延びてやるんだという気概が感じられます。

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南国ムード漂うフェニックスの近くに、ヒマラヤ山脈西部が原産地のヒマラヤスギが。種が飛んだあとの球果(松ぼっくり)は、バラの花の形に似ていることから「シダーローズ」と呼ばれるそう。
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ちなみに、開学当初のヤシはこんなに小さかったそう。学内の植物からも大学の歴史が感じられる。
写真提供:甲南女子大学広報課

緑の地面は芝生づくしかと思いきや、シロツメクサもあるんですね。しかも、ちゃんと説明板まで。……えっ、「オランダから献上されたガラス製品の緩衝材として詰められていた」? 白い花を咲かせる「詰め草」だからシロツメクサですか。勉強になる〜!

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松村先生:これは、授業の一環で制作しているものです。学生が植物について調べて、おもしろいと感じたポイントを盛り込んでいるので、植物園などの説明板とはひと味違うかと。

ほかの説明板も探して読みたくなります!

松村先生:説明板めぐりの企画もぜひお願いします(笑)。

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ツアーの締め括りに立ち寄ったのは、松村先生が「キャンパス一の美しさ」と評する5号館前のソメイヨシノ。春休み期間中でも見に行く価値あり!

自分らしく生きる植物が
私たちに教えてくれること

甲南女子大学のボタニカルツアー、とっても楽しかったです! ツルボやオケラといった珍しい植物に出合えたり、サクラやケヤキなど身近な植物の意外な一面を知れたりして、植物への理解が深まりました。植物って姿かたちだけでなく、それぞれの生き方にも個性があるんですね。

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松村先生:僕が学生たちに一番伝えたいのは、そこなんです。若い頃って、自分が目指す道はこれだと思ったらそれしかないって思い込みがちですけど、植物はそうじゃないですよね。花は春に咲くとは限らず、真冬に咲くものもあれば、真夏に咲くものもある。植物を通していろんな生き方があることを知れたら、人生の深みが増すんじゃないかなと思います。

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植物は“人生の師”に成り得ると。ほかに、植物を知ることでプラスになることはありますか?

松村先生:植物をたくさん知っていても、実生活ですごく得をするわけではありません。でも、例えば歳を重ねて旅行に出かけたときに、花を愛でたり季節を感じたりする楽しみが増え、人生を豊かにしてくれると思います。今はピンと来なくても、10年後20年後、ふとしたときに思い出してもらえると嬉しいですね。

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部屋に一つ観葉植物を置いてみるとか、暮らしの中で植物との接点をつくってみるのはどうでしょう?

松村先生:植物を育てるのもおすすめですよ。僕は食べ終わった果物や野菜の種を植えて、成長していく様子を眺めるのが好きです。芽が出て、葉が開いて、茎が伸びて……成長ぶりがすごくパワフルで。そこから元気や癒しをもらっていると、植物を育てているんじゃなくて、植物に育てられているんじゃないかと思えてきます。ぜひ一度お試しください。

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ますます植物の世界にハマっていきそうです。本日はありがとうございました!

人間科学部 生活環境学科についてはこちら(大学公式サイトへ)

松村俊和教授の教員詳細ページはこちら(大学公式サイトへ)

※記事に記されている所属・役職等は取材時のものです。既に転出・退職している教員、卒業している学生が掲載されている場合があります。

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