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わたしの「居場所」の見つけ方

「居場所」とはなんでしょうか。いつもご飯を食べる席、なじみの人が自然とあつまる部室、何時間も一緒にいられる人間関係。甲南女子大学の心理学科・山田尚子先生によると「居場所とは、自分らしくのびのびしていられるところのこと。そこには物理的な場所も、心理的な関係性も含まれる」のだとか。
高校までとはちょっと違う、大学での日常。
大学で、自分の「居場所」をどうつくっていくか。部活、学生団体、グループ授業……そのきっかけは人それぞれです。さまざまなコミュニティに属する学生たちに「居場所」について聞きました。

また、最後の章では、山田尚子先生より心理学の立場から「居場所とは本当に必要なのか?」という疑問にお答えいただきました。


好きなものを発信していたら、仲間が見つかる
eスポーツ部 A・Kさん、Y・Nさん

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(左から)A・Kさん(人間科学部心理学科1年生・高砂南高等学校出身)、Y・Nさん(人間科学部心理学科1年生・葺合高等学校出身)

大学での居場所の見つけ方について、部活やサークルもその入口のひとつになりますよね。 まずは、おふたり自身やeスポーツ部のことをお聞きしたいです。eスポーツ部に入ったきっかけを教えてください。

A・Kさん:私たちゼミが一緒なんですけど、はじめの自己紹介の時にY・Nさんがゲームが好きと話していて。

Y・Nさん:そうしたらA・Kさんが「eスポーツ部っていうのがあるから体験に行ってみない?」と誘ってくれたんです。

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放課後の活動場所である、部室にて

共通の趣味がコミュニケーションにつながったんですね。昨今大会なども盛んなeスポーツですが、部の具体的な活動内容をお聞きしたいです。

Y・Nさん:週に1回放課後、部室に集まってスプラトゥーンというゲームをしています。4面あるモニターで交代しながらやってます。活動の時間は自由で、自分が行きたい時に行く感じです。今は全体で20人弱ぐらい、最近は1年生がよく集まっています。

普段の部活の雰囲気はどのような感じですか?

Y・Nさん:いつもみんなで熱狂しています(笑)。公式の大会があるので、そこを目標にしつつ「みんなで楽しくゲームをしよう」というのが大前提にあるので、ただゲームを楽しみたい!という人もウェルカムな雰囲気です。

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そもそも、おふたりはいつごろからゲームが好きだったのでしょう。

A・Kさん:父がゲーム好きだったのもあって、小さいころから一緒にやっていました。自分のゲーム機を持ちはじめたのが高1の秋ごろ。ただ、高校生の時は同じ学校に一緒にゲームをする人がいなくて。オンラインで知り合った、いろんな年代の方と交流しながらゲームをしていました。

Y・Nさん:私は、小さいころはゲーム実況のYouTubeをよく見ていました。自分で本格的にやりだしたのは高校2年生からです。

個人でゲームをするのと、部活のみんなでゲームをするのとで、何か変化はありましたか?

A・Kさん:自分だけでゲームをしている時は、勝ち負け重視でした。オンラインなので、味方も対戦相手も顔が見えない分、イライラしてしてきつい口調になったり(笑)。部活ではみんなで集ってやるのが楽しくて。協力して、楽しんだ上で勝ちたいという気持ちになりました。

Y・Nさん:eスポーツ部には、“ゲームが好き”という共通点のある人たちが集まっているので、話がつきなくて楽しいです。ちょっと時間を無理してでも、この場所に行きたいなと思えるというか。

自然と足が向く場所というのは、まさに「居場所」というような気がします。

A・Kさん:もともと、居場所を作ろうと思って部活に入ったわけではなかったんですが、結果的にそうなりました。入学前は、大学にちゃんと通えるか不安でしたが、部活に入ることで趣味を共有する仲間ができて、大学に行く楽しみができました。今では生きがいと言えるほど大きな存在です。

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Y・Nさん:高校の時までは、ゲームが好きとまわりに言うのがちょっと恥ずかしいと思っていました。同じような人はいないんだろうなって思い込みがあって。でも、eスポーツ部を知って「こんな部活があるぐらいだから、自分と同じようにゲームが好きな人もきっといるはずだ」と気がつきました。私の場合、もともとゲーム自体が自分の居場所でしたが、その範囲がより広がったような気がします。

この部活は、おふたりにとって特別な存在なんですね。活動のなかで、特に「ここが居場所だな」と感じる瞬間はありますか?

A・Kさん:私は大体部室に来るのが1〜2番目ぐらいで早い方なんですが、あとから来た人たちが「おはよう」って入ってくる時に、なんか良いなって思います。集える場所がある安心感というか。部室は大学にきたら真っ先に行きたくなる場所。大学内で、ここにきたら絶対に誰かと話せるって場所があるのは心強いです。

Y・Nさん:ゲームですごく接戦で勝った時に、盛り上がってひとつになる瞬間があって、その時ですかね。あとはゲームをしながら、なにげないことを話してるとき。悩みごとも、たとえ解決に至らなくても話すだけで落ち着いてきて、そういう時に自分の居場所だなって思います。

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これから居場所を作りたいと思ってる人に、伝えたいことはありますか?

Y・Nさん:自分の好きなものは、できるだけ外に発信した方が良いと思います。恥ずかしかったり、同じような人なんていないと諦めたりする気持ちってすごくわかるんです。でも、好きという気持ちを言い続けていたら仲間が見つかるかもしれない。その方が、自分と合う人や場所とつながりやすくなるんじゃないかなと思います。

A・Kさん:自分の中に好きなことがあれば、それを大事にしてほしいです。その好きなこと自体が居場所になるし、居場所を広げるきっかけにもなるのではと思います。



eスポーツ部についてはこちら(大学公式サイトへ)

共通の目標に向かって助け合い、ひとつのチームを実感
大学祭実行委員会 M・Sさん、A・Sさん

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(左から)A・Sさん(文学部メディア表現学科3年生・姫路飾西高等学校出身)、M・Sさん(文学部メディア表現学科 3年生・花園高等学校出身)

はじめに、大学祭実行委員会の活動内容について教えてください。

M・Sさん:甲南女子大学で毎年10月に開催される大学祭「よつば祭」の運営をしている学生団体です。委員は60人いて、それぞれ7つの部署、コンサート部署、トークショー部署、お笑い部署、模擬店所、リサイクル部署、子ども部署、イベント部署に分かれています。3回生は学生生活課や各業者と相談をしながら準備をしていき、1・2回生は大学祭の2週間前ぐらいから本格的に参加していきます。



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おふたりは、どのようなことを担当していますか?

M・Sさん:今年、私は委員長で、A・Sさんは副委員長なんです。みんなどこかの部署には所属しつつ、役職がついてきます。私はコンサート部署に所属してます。

A・Sさん:私はお笑い部署です。2人とも1回生のころから入っていますが、最初はお手伝いみたいな感じでした。

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そもそも、委員会に入ったきっかけはなんだったのでしょう。

M・Sさん:私はもともと、コンサートやライブに行くのが好きだったので、いつか裏方のお仕事をしてみたいなと思っていたんです。なので、大学に入る前から大学祭実行委員会に入りたいとは考えていて。HPに載ってる動画で、みんなで楽しそうにしてる姿を見たのもあと押しになりました。

A・Sさん:高校のころから、メディア関係のお仕事につくのが夢でした。イベント運営の裏側、出演者に対して陰でどう支えてるか、照明や音響のことなど、学生時代に体験してみたいなと思ったのがきっかけです。

もともと興味のある分野だったんですね。実際にやってみてどうですか?

A・Sさん:集客や予算のやりくりなど、考えることがたくさんあって大変だけど、充実しています。今はアーティストさんへの依頼を進めたり、模擬店出店の応募受付、協賛の協力をお願いしているところです。

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今年はおふたりの学年が中心となって活動されるかと思いますが、何か目標はありますか。

M・Sさん:新しいことにチャレンジしていきたいなと思っています。例えば、集客力アップを目指して、今までずっと同じだったタイムスケジュールを入れ替えてみないかと話し合っています。お客さんの流動やバスの時間など考えることは多いですが、より良いものにしていきたいです。

みんなでひとつの目標を目指すと、より絆も深まりそうです。おふたりとも、1回生から所属されていますが、大学内での「居場所」という点ではどうでしょうか。

M・Sさん:居場所になっていると思います。私はもともと、授業が終わったら誰とも話さず即帰る!みたいなタイプだったんです(笑)。それが学祭実行委員会に入り、3回生になって集まることも増えて。部室でご飯を食べながら話し合いや作業をしていると「大学生をやってるな〜」と実感が湧いてきて、やっと大学での居場所が見つかったなと感じました。

A・Sさん:メンバーが本当にいい人たちばっかりで。何かひとつ決めるのでも、気負って話すこともないですし、楽しく話ができて、気兼ねなく相談できるんです。学祭のこと以外でも、話すことに困らない。帰ってくる場所っていうとちょっと言い過ぎかもしれないけど、家みたいにくつろげる場所だと思っています。

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先輩たちから受け継いだ部室には思い出がいっぱい

メンバー内での信頼関係があるんですね。

A・Sさん:話し合いをしていても、否定で入らず意見を取り入れてくれる人ばかりで。でもみんなちゃんと自分の意見を持っているので、とても良い雰囲気ができていると思います。

M・Sさん:共通の目標があって、そのために助け合いながら、やるべきことに取り組んでいます。ひとつのチームになっている実感がありますね。自分は勢い重視のタイプなので、その分まわりのメンバーが私に足りないところを支えてくれています。大変な仕事もあるけど、みんなが助けてくれてるので、頑張ろうと思えます。

どんな時に、実行委員の集まりが居場所だなと感じますか?

M・Sさん:今日誰がいるかな?とワクワクして部室のドアを開ける時ですね。部室でちょっと寝たりもするし、あの場所自体が落ち着く自分にとって、居場所になっていますね。

A・Sさん:一緒に居て、無理に話さなくても気にならない時ですかね。変に気を遣わなくて良いのは、自分がリラックスしている証拠だなと思います。

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居場所の見つけ方について、高校生のみなさんにアドバイスはありますか?

M・Sさん:私自身、1・2回生のころは、まわりでサークルに入ってる子が多くて不安もありました。でも3回生になってやっと、大学でのつながりを持つことができました。だから遅いとかはないし、焦らなくても大丈夫だよと言いたいです。

A・Sさん:新しいところに飛び込むってなにかと心配になると思うんです。私が実行委員会に入る時も、具体的に何するかがあんまりわかってなくて、不安に思ってました。でも、今考えたらその不安な部分も、良い経験になったなと思っています。なので、全然怯えなくていいよ!ってことですかね。



大学祭実行委員会についてはこちら(大学公式サイトへ)

友だちできなくてもいいと思っていたけど、
授業を通じて自然と深まった仲
リーダーシップ教育 N・Nさん、H・Kさん

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(左から)N・Nさん(人間科学部文化社会学科 3年生・大商学園高等学校出身)、H・Kさん(国際学部国際英語学科 2年生・明石西高等学校出身)

「リーダーシップ教育」という授業を受講されているおふたりですが、そもそもどういった授業なのでしょうか。

N・Nさん:学生が主導となって授業進行をするなかで、自分なりのリーダーシップを見出し、実践していく授業です。受講生は、学部も学年もバラバラ。ほぼ毎回グループワークを行い、前期は2~3回の授業ごとに新しいグループを作ります。

H・Kさん:一般的にリーダーシップというと、先頭に立って引っ張っていくことを思い浮かべると思うんですが、そうではなくて。

N・Nさん:“全員発揮型のリーダーシップ”と言って、それぞれの強みを発揮することを目的とするので、司会進行して引っ張ってくれる人、話しやすい雰囲気を作る人、話がそれたときに軌道修正してくれる人、すべて“リーダーシップのある人”なんです。自分はどういう役割が得意なのかを知ると同時に、人のリーダーシップを見て、どう自分に取り入れるかを考えていきます。

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おふたりはそこで知り合ったんですよね。

H・Kさん:授業では、学習アシスタント(LA)と言う、受講生のリーダーシップを引き出す先輩学生がファシリテーションやグループワークへの介入を行います。去年私が受講生だった時に、N・NさんはLAをしていて。今年は私がLAをしています。受講生の特徴をとらえて座席やチームを作ったり、声掛けをするのも役割の一つです。

N・Nさん:私は今年、統括LAという立場で授業に関わっています。H・KさんなどLAの活動を観察し、必要に応じてファシリテーションの支援やフィードバックをする、いわゆるサポート・相談役です。

クラスの人数はどのくらいなのでしょうか。

H・Kさん:50人ほどを3人で回しています。

学部も学年もバラバラの人たちが集まるなかで、それぞれの特徴を捉えながら仕切っていくのは大変そうですね。

H・Kさん:毎回、頭を抱えながら頑張っています(笑)。授業前は本当にすっごく緊張して。自分たちの伝え方次第で受講生の理解度が変わるので。

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授業をうまく進めるために、周りとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?

N・Nさん:話しやすい空気を作りたいので、受講生にもLAにも、必ずそれぞれにおはようと挨拶しています。あとは、授業が終わったら「今日よかったやん〜」とか「こういうところがわかりやすかったよ」って声かけも。できるだけ多くの子に話しかけるようにしています。

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H・Kさん:授業前は緊張してピリピリした空気になることがあるのですが、統括LAさんに声をかけてもらえると、明るい雰囲気になって、肩の荷がスッとおりるんです。

おふたりの仲はどのようにして深まっていったのでしょうか。

H・Kさん:学生主体で授業を進行するリーダーシップ教育は、ほかの授業より不安もあって。でも、同じ経験をしてきたN・Nさんがいつも近くで見守ってくれたので、些細なことを相談したり、アドバイスをくださったりするなかで自然と仲が深まった気がします。

N・Nさん:やはりLAを担当した後輩は特別な存在で、ずっとお互いの成長を見守りあっているような感じです。

H・Kさん:特に印象的だった出来事は、N・Nさんは去年の授業の時に、毎回「コーディネイトクイズ」をしてくれて。映画の主人公の服をマネした格好をしてきて、当ててみてねって。初回の時に「レオンのマチルダや!」って私だけすぐにわかったので、話しかけに行って、一気に距離が縮まったんです(笑)。

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N・Nさん:去年、授業終わりに毎回話しかけてきてくれたよね(笑)。私、基本1人でいるタイプなのもあって、第1印象がおとなしそうとか、何考えてるかわからないって言われることが多くて。頼られる存在であるべきLAだから、話しやすいフックを作ろうとしていました。

H・Kさん:そういう仕掛けをつくるのは、勉強になります。

素敵なコミュニケーションですね。おふたりにとって、お互いはどのような存在ですか?

N・Nさん:自分がLAをしていた時に「新しく次のLAになる子のお手本になりたい」というのを目標にしていたので、H・Kさんが、私が伝えてきたことを受け取って、今の受講生に繋げてくれてるのを嬉しく思っています。

H・Kさん:授業の内容で「不安なんですよね」と相談すると、アドバイスをくださったり「大丈夫!できるよ」とポジティブな気持ちにさせてくれて……。もう、心のよりどころです(笑)。

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学年、学部の違いを感じさせないおふたり

N・Nさん:授業としても、これだけ他学年や他学科の人と関わる授業もめずらしいなと思います。学科の必修科目では基本、同い年ですし。リーダーシップ教育ならではの、成長を見守ってくれている人がいる安心感や、お互いを認め合うことでできる絆を感じます。授業で同じグループになって、授業後も交流が続いている子も多いですよ。

授業はひとりで受けるようなイメージが強いですが、ひとつのコミュニティになっているんですね。これから居場所作りをしようとしてる人に向けて、なにかアドバイスはありますか?

H・Kさん:自分は正直、1人が好きなのもあって、大学に入った当初は、別に友達はできてもできなくてもいいや〜と思っていました。でも、結局グループワークやゼミなどを通して、喋れる子も自然とできてきたんです。なので、まったく不安に思わなくていいですよ。それに、女子大だからかなと思うんですが、うちの大学ってみんな自分をさらけ出してるというか、好きなもの全開な人が多いので、取り繕ったりせずに、自然にしていれば大丈夫だと思います。

N・Nさん:私は、リーダーシップの授業をぜひ取って!って言いたいですね(笑)お互いの成長を見守り合って一緒に成長していける仲間ができますよ!とおすすめしたいです。

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リーダーシップ教育についてはこちら(大学特設サイトへ)

教えて、山田先生
心理学の観点から「居場所」について聞いてみた

ここまで、学生たちの姿から大学内でのさまざまな居場所のあり方をみてきました。
自分はまだ居場所を見つけられていない、居場所をつくれないんじゃないか、と不安に感じたり、焦っている人もいるかもしれません。

けれど、そもそも私たちにとって「居場所」ってどんな存在なのでしょう。そして、居場所とは本当に必要なものなのでしょうか。そんな疑問に、心理学科の山田尚子先生にお答えいただきました。

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心理学科 山田尚子先生。キャンパスのなかでお気に入りの場所だという、8号館と5号館の間にある自然豊かなベンチスペースにて。こちらで園芸活動もされているそう

山田先生には、心理学の観点から見た「居場所」についてお聞きしたいです。そもそも、居場所ってどういったものなのでしょうか。

山田先生:多くは、家や学校のように物理的な場所か、親や友達のような心理的な人間関係ですね。そこにいるだけでリラックスできたり、自分らしくいられる場所や関係性のことです。あとは自分を受け入れて肯定してくれる、いるだけで元気になるなど、ポジティブな感情を引き出してくれる場所や関係性のこともさします。

居場所づくりについて、高校までと大学での違いはありますか?

山田先生:高校ではクラスも自分の席もあらかじめ決まっているので、ひとまずの居場所は与えられていると言えます。ただ逆に、自分で選んだメンバーではないので、合わないとなったときの疎外感やしんどさも感じやすい。それに比べて、大学は自分で居場所を選べるという良さがあります。自由度が高い分、ハードルは上がるかもしれませんが、可能性が無限にあるという捉え方もできます。

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なるほど。山田先生から見て、ズバリ、居場所って必要なものでしょうか?

山田先生:居場所の範囲、レパートリーは多いほうが、精神的にはプラスになり、生活満足度が高くなるという研究はあります。ですが、居場所がない!と焦る必要はないかなと。意識せずに、知らぬ間に居場所になってたみたいなパターンってけっこう多いんですよ。

無理に頑張ってやろうと思うと、うまくいかないみたいなこともありますよね。

山田先生:ストレスも減らそうと頑張るとかえって減らないですよね。力まずに、自然とできていればいいかなと思います。1日振り返った時に、一番気分がいい、落ち着いていられる時間帯はどこかな、そのとき何してるかな、そのときいるのはどこかなとか。

居場所というのは、1人でいてもいいんですよね。

山田先生:もちろん。何かに没頭したり、ボーッとできることは1人だからこその価値ですよね。1人でいる時間の価値を感じられるのも大切なことです。ソロ活という単語が出てきたり、大学のコモンルームでは1人席が人気と聞きます。それだけニーズがあるし、世間的にも認められてきているのだと思います。

自分の居場所を見つけやすくするために、できることはあるのでしょうか。

山田先生:頑張らなくても良いよと言いたいところですが(笑)。何かひとつあげるとしたら、好きなものというのは強みになると思います。1人でいてもご機嫌になれるなにかがあるといいかなと。
あとは、自分の心をオープンにしておくことでしょうか。新しい場所に行ってみる、新しい人に会う。自分で自分の気持ちを閉ざさないようにすること。あとはここに居たいと思うところがあったら、滞在時間を少しずつ増やしてみたり、自分を慣れさせることですかね。

甲南女子大学の学生を見ていて、居場所についてなにか感じることはありますか?

山田先生:女の子しかいないという環境が、ある意味動きやすいんだなと感じることがあります。古典的に期待される女性らしい役割を誰も取らなくてよくて、そこから解放されている子が多い印象です。バリバリやりたい子はやるし、ほんわかが好きな子はそうすればいい。女性だからと暗黙的に期待される役割がないのは、のびのびできて良いと思いますね。

わたしの「居場所」の見つけ方

最後に、居場所がないと感じている人に向けて言えることがあればお聞きしたいです。

山田先生:最近の学生たちは、友達を作らなきゃとか就活に追われたりとか、社会的な部分での焦りや、まわりからの期待が大きい気がします。でも、本当は人間関係での選択の自由って広がっているはずなんです。SNS上で好きな人と繋がれたり、1人席が増加していたり、自分の居場所を探す行動も取りやすくなってる。どうぞのびのびと過ごしてほしいと願っています。

2025年4月開設予定 心理学部心理学科についてはこちら(大学特設サイトへ)

山田 尚子教授の教員詳細ページはこちら(大学公式サイトへ)

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