メイクの持つパワーってなんでしょうか。「自分に自信が持てる」「すっぴんの時より積極的になれる」「魔法がかかったような気分」そんな言葉を聞くことも。じゃあ、もしもメイクでなりたい自分を表現できたら、自分の性格や行動が変わるきっかけになるのでしょうか? 甲南女子大学の卒業生であり、現在プロのメイクアップアーティストとして活躍するHANNAさんと、3人の学生が一緒になって「自分を後押ししてくれるメイク」を考えてみました。
まずは日ごろ感じる
メイクの魅力について
話してみた
HANNAさん:今日は、皆さんの人柄や普段考えていることをお聞きしながら、理想の自分への後押しになるようなメイクを提案できたらと思っています。
全員:よろしくお願いします!
HANNAさん:まず少し私の話をすると、今でこそ人と話すのが大好きなんですが、小学生の時は体型的なことや国籍のことでコンプレックスがあって、大人しい子だったんです。けれど4年生の時にメイクと出会ったことで外見に自信が持てるようになったのと同時に、性格もどんどん明るくなって。
韓さん:私はメイクやファッションで、“自分らしいかどうか”っていうのは意識するようにしてて。自分が好きなメイクをして、自分らしくいられると、外見だけじゃなくて内面にも自信が持てる感覚はわかります!
HANNAさん:皆さんはメイクは日によって変えたりしていますか?
塩谷さん:私は毎日変えてます。目尻を跳ね上げたり下ろしたり、眉毛の形も変えてみたり。自分に似合うものを見つけて、いろんな場面で出せるよう引き出しを持っておきたくて。
HANNAさん:すごい、研究熱心ですね! ファッションやコスメについて専攻されているのもあって、メイクへの関心も高いんですね。
従野さん:中学・高校から興味があったことを、授業で深く学べていて楽しいです。最近は登学の機会も減っているので、大学に行く時は特に気合を入れてお洒落してます(笑)。
なりたい理想の自分を
メイクで表現するなら?
深堀りしてみよう
HANNAさん:ここからは、おひとりずつお話を聞けたらと思います。まずは韓さんから。普段のメイクで意識していることはありますか?
韓さん:私は目元をはっきりさせて、全体的にしっかりとした印象になるように心がけています。
HANNAさん:クールな雰囲気で素敵ですね。ご自身のお顔の雰囲気にもとても合っていると思います。凛とした女性というか、頼れる人なんだなという印象です。
韓さん:自分の意志を持っている人が理想なので、そう言ってもらえてうれしいです。高校の時に部活で部長をしてたのもあって、周りから信頼されて、憧れられる女性になりたいなと思っています。
HANNAさん:なるほど、人前に立ったり多くの人をまとめる機会が多かったんですね。最近、魅力的だなと思う人はいますか?
韓さん:韓国の『MONSTA X』というグループが好きです。華やかなセットに負けないような、キラキラしたメイクが素敵だなって。
HANNAさん:日本の男性アイドルは肌を綺麗に見せるのがメインですけど、韓国では「男性だから」という固定概念がなくて、明るい色やラメっぽい色も積極的に取り入れてますよね。
韓さん:ジェンダーレスに美を追求しているのが良いなと思います。
HANNAさん:韓さんの目指す「信頼され、頼られる人になりたい」という内面の理想と、韓国の男性アイドルが持つ「注目を集めるような華やかさ」「意志の強さを表すメイク」は繋がってくるかなと思うので、韓国男性アイドルのメイクを参考にするのは良いかもしれませんね!
HANNAさん:では次に従野さんは、何歳からメイクをしはじめたんですか?
従野さん:中学からです! ハマりすぎて「趣味はメイク」みたいな感じでした。自分が変われることがすごくおもしろくって。熱中しすぎて、今は少し落ち着きました(笑)。
HANNAさん:変われるとおっしゃってましたが、メイクをするとどんな気持ちになりますか?
従野さん:何かを装着したみたいな気分ですね。どんなことがあっても跳ね返せます! みたいな(笑)。今日かわいいからなんでもできるぞ! というマインドになれるんです。
HANNAさん:それ、すごくわかります! 自分の好きな自分でいれる時って、無敵ですよね(笑)。自分がイケてると思うものを身に付けていると、前向きな気持ちになれて、そうすると普段の行動も変わってくるんですよね。普段メイクで意識していることってありますか?
従野さん:自分の顔を生かせるようなメイクを意識しています。今はまつげ美容液を毎日塗ってまつ育をしています。
HANNAさん:最近は自まつげを育てようという人が多いですよね。こういう自分になりたいというのはありますか?
従野さん:友達に元気を与えれたり、悩んでることを相談されるような人になりたいです。私と話して楽になったり、暗い気持ちだったのが元気になったと言ってもらえると、うれしいなって思います。
HANNAさん:従野さんの言葉からはすごく前向きなパワーを感じますね。明るさをさらに引き出しながら「悩みを相談してもらえるような人」との理想もあるので、あたたかみも表現したいですね。オレンジ系のメイクはどうですか?
従野さん:オレンジ系のメイクは難しそうで、普段したことがなくて。
HANNAさん:確かに、オレンジは似合う似合わないを感じやすい色ですよね。でも入れ方を工夫すれば、明るくてあたたかい魅力を引き出すことができますよ!
従野さん:やったことのないメイクにチャレンジしてみるのも楽しそうですね!
HANNAさん:塩谷さんは「こんな人になりたい」という理想はありますか?
塩谷さん:今年は潔さと柔軟さっていうのをテーマにしているんです!
HANNAさん:今年のテーマですか! そう考えるようになったきっかけはあるんですか?
塩谷さん:去年は「自分の意見を持つ」っていうことを意識してたんです。その目標は達成できてきたので、今はもう一段階進んで。自分の考えが誰かへの押し付けにならないように、人の意見も柔軟に聞ける人になりたい、と思うようになりました。
塩谷さん:潔い人になりたいというのは、いろいろ決める時に優柔不断なところがあるのが嫌で。覚悟を決めれる人になりたいなと。人のことを思いやることができて、でもさっぱりして良い人だなって思われたらうれしいですね。
HANNAさん:学生のころから努力されているのが素晴らしいです。素敵だなと思うのはどんな人ですか?
塩谷さん:大人っぽくて、知性のある女性がカッコ良いなと思いますね。それもあって資格の勉強をはじめて、最近、FP(ファイナンシャル・プランナー)と秘書検定とエステの資格をとりました! 今は知識を得ることのおもしろさを感じています。
HANNAさん:なるほど。“潔い”や“知性のある”というと、眉毛の印象を変えてみるのはどうでしょう? 今はどちらかといえば細めですよね。
塩谷さん:眉頭が細いので、合わせた方が良いかなと思って細めにしてますね。
HANNAさん:たとえば女性の経営者の方って、眉がはっきりしてる人が多いんです。なので眉毛を少しキリッとさせて、決断力の高さを出すのが良いかなと思います。ただ「人の意見を聞ける柔軟さ」も理想にあげていたので、全体的にやさしい印象になるよう、バランスを大事にメイクしていきましょう。
実践編!
いつもと違うメイクに
緊張とワクワクが入り混じる
1人目:韓さんのなりたい自分に近づくメイク「意志を貫き、周りから憧れられる人」
HANNAさん:韓さんは、まずハイライトを頬骨の上から眉下のところにかけて、くの字になるように乗せましょう。お顔を立体的に見せながら、動いた時に光が発せられて、内からの華やかさが増すように。
HANNAさん:ハイライトは白だと白浮きしちゃって「塗っている」感じがするので、ピンクベージュ系を選ぶと良いですよ。肌なじみが良く、自分の肌がツヤっと光っているように見えます。
韓さん:そうなんですね……! 今までハイライトは白を使っていました。
HANNAさん:あとは韓国アイドルのメイクを参考に、目元に赤みを足して。目力が上がり、キリッとした意志のある女性に見えると思います。
HANNAさん:真っ赤なものよりも、ブラウン系のレッドでツヤのあるシャドウを使うと、目元だけ派手にならず、自然な仕上がりになりますよ。
韓さん:口紅の色と合ってて、統一感がある感じがします!
〜完成形はのちほど〜
2人目:従野さんのなりたい自分に近づくメイク「悩んでいる人を支えて、元気を与えられるハッピーな人」
HANNAさん:従野さんは全体的にオレンジを使用し、内から滲みでる明るさを表現していきましょう。ただ、幼いかわいさに寄りすぎないように工夫を。
HANNAさん:たとえばチークはピンクベージュに近いオレンジに。ふんわりと内から血色が良くなっているように見せていきます。そして目元の上と下、両方にオレンジのシャドウを入れていきますね。
従野さん:これだけアイシャドウをしっかり塗ったのは初めてです。でもあまり厚塗りしている感じにはならないのが意外……!
HANNAさん:「相手に安心感を与える」という要素も入れたいので、黒目の上を一番高く山形に塗って、やわらかな雰囲気をだします。逆にキリッとした印象に仕上げたい時は、目尻の方に高さを入れると良いですよ。
HANNAさん:あとは自まつげがとても長くて素敵なんですが、実はまつ毛が長いと目元がくすんでしまうことも。そういう時は下瞼にもオレンジをいれることで、目の下をワントーン明るくする効果もあります。
従野さん:ファンデーションは変わっていないのに、顔が明るくなったような気がします!
〜完成形はのちほど〜
3人目:塩谷さんのなりたい自分に近づくメイク「潔くて柔軟な人」
HANNAさん:塩谷さんは、まずは潔さを示すために、眉毛をアーチ型でしっかりめに書いていきます。自眉を生かして、あくまで違和感はないようにしましょう。
塩谷さん:なんだか少し大人っぽくなったというか、落ち着いた雰囲気になるんですね!
HANNAさん:全体的な色味をピンク系に、肌も透明感を出して、チークもふわっとのせることでかわいらしさも表現しましょう。“潔さ”と“柔軟さ”、どちらも印象づけられるように。
HANNAさん:そしてマット系のピンクの口紅を筆で塗っていきます。そのまま乗せると口の輪郭を強調しすぎてしまうので、形をぼかしてやさしい雰囲気に。
塩谷さん:筆は使ったことがなかったです! 印象はやわらかいけど、マットなので色づきはしっかりしていて良いですね。
〜完成形はのちほど〜
理想の自分を表現するメイク、完成!
やってみてどうだった?
HANNAさん:皆さんお疲れ様でした! 実際にメイクをしてみて、何か気づいたり、感じたことはありますか?
韓さん:新しいメイクに挑戦すると、やっぱりテンションが上がります! 赤色のアイメイクって腫れぼったく見えるイメージがあったんですが、下瞼につけると全然違うんだなとびっくりしました。自分の中に、また違う一面を発見できた気がしてうれしいです。
従野さん:普段からチークもアイシャドウもあまり塗らないし、オレンジも挑戦したことのない色だったので、とっても新鮮でした。普段から、メイクは自分の気持ちをあげてくれるものという意識はあったんですが「こういう内面になりたいからメイクでこう表現する」というアプローチがおもしろかったです。
塩谷さん:意志が強そうな眉にすると、きつい感じになっちゃうのかな? と思ってましたが、柔軟な印象っていうところもトータルで考えてくださって、さすがプロの方だなーと。自分の印象を変えれることが、メイクの楽しいところだし、醍醐味だなと改めて感じました!
HANNAさん:今回協力してくださった皆さんは、メイクについて興味があっていろいろ研究もされている印象だったので、あえて、普段挑戦してなさそうなメイクを提案してみました。新しいアプローチを持つことによって、「自分にはこんな魅力もあるんだな」と気づく、そんなお手伝いができたならうれしいなと思います。
人間科学部 文化社会学科についてはこちら(大学公式サイトへ)
HANNAさんのHPはこちら(外部サイトへ)
※記事に記されている所属・役職等は取材時のものです。既に転出・退職している教員、卒業している学生が掲載されている場合があります。
Another voice
05なんのためにメイクする?