自分の生理が重いのか軽いのかわからない。経血が漏れて下着を汚しちゃったけど私のつけ方が悪かったのかな。知っているようで生理はわからないことだらけ。「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマに性教育YouTuberとして活動するシオリーヌさんに、学生から募集した、なかなか聞けない生理の悩みに答えてもらいました。
「性の話をもっと気軽にオープンに」
助産師として正しい知識を発信したい
シオリーヌさんが、性教育YouTuberとして活動されるきっかけはなんだったんでしょうか。
シオリーヌさん:私の場合は家庭が複雑で、思春期に家族のあり方について考えているうちに産婦人科のことを知ったんです。いろんな親子や家族に触れて学ぶことができる職業だと思い、看護系の学部がある大学に進学しました。大学では看護師・保健師・助産師の資格取得して、YouTubeを始める前は、病院で助産師として働いていました。
最初は病院で働いていたんですね。
シオリーヌさん:そうなんです。助産師として産院で働くなかで、性に関する正しい知識を持っていないために予定外の妊娠をしてしまったり、婦人科の検診に行かなかったために子宮頸がんなどの重篤な婦人科系の病気を見落としてしまったりと、さまざまな悩みを抱える人をたくさん見てきました。そこで、助産師としての知識を活かして、性に関する正しい情報を発信したいと思ったんです。より多くの人に、気軽に情報を知ってもらうための手段として、YouTubeの場で発信することを選択しました。
いまや登録者数が16万人以上と、たくさんの人からの支持があることがうかがえます。「安全日・危険日っていつ? 本当にあるの?」など、学校では教えてくれないけど多くの若者が気になる話題に、かなり食い込んだ動画を配信していますよね。現代の駆け込み寺的な存在だなあと思います。
学生からの悩みに回答!
生理のあれこれお悩み相談
ここからは学生からのリアルな悩みにアドバイスをいただけたらと思います。
シオリーヌさん:生理用品といえばナプキンと思われがちですが、ナプキンは、陰部を清潔に保とうと思うと2時間に1回くらいはとりかえたいところです。長時間つけていると、雑菌も繁殖しやすいですし、ニオイやかぶれも発生しやすくなります。
大学の授業が1コマ90分なので、2時間に1回となると毎回の休み時間にナプキンを取り替えないといけないから大変ですね……。
シオリーヌさん:いまはいろんな種類の生理用品があります。漏れを気にするならタンポンをおすすめします。私もタンポンはよく使います。
シオリーヌさん:メーカーにもよりますが、長いものだと8時間くらい、膣の中で経血を吸い込んでくれるので外に漏れてきません。経血で肌がかぶれやすい人や、スポーツをする人にもおすすめです。ナプキンと同じように、経血量に合わせて大きさも違います。
シオリーヌさん:ナプキン派で、漏れが不安な人は「ピース」がおすすめです。いつものナプキンにプラスして、ピースを膣の入り口にあてがうことで2時間分吸収力がアップするという優れもの。しかも使用後はトイレに流せるんです!
トイレに流せるのはすごく便利ですね……!
シオリーヌさん:友達の家や、旅行に行く時なんかは、これを装着しておくと安心ですよね! 経血がついたピースだけトイレに流しちゃえばいいので。
シオリーヌさん:股の部分に吸収素材が縫い付けてある吸水ショーツもあります。これ1枚で経血を吸収してくれるのでナプキンやタンポンもいりません。生理中であっても、薄着でゴロゴロしたい時なんかに便利です。
お風呂上がりとかまさにそうですね。とりあえずこれをササッと履けばスキンケアものんびりできそう。
シオリーヌさん:「トイレに行った後に経血を吸ったショーツをもう一度履いて不快にならないのかな?」と疑問に思って私も使ってみたんですが、吸収素材自体が経血をよく吸う上に速乾性なので気になりません。洗って何度でも使えるという点も嬉しいですね。
シオリーヌさん:日本ではまだメジャーではないのですが「月経カップ」という生理用品もあります。シリコン製の柔らかなカップを膣の中に挿入して、経血をそこにためておくんです。多少挿入に慣れが必要ですが、何度でも使えるうえにかさばらないので、メリットは大きい生理用品です。むれが気になる人にもおすすめですね。
本当にたくさんの生理用品があるんですね……!
シオリーヌさん:人によって生理は違うので、自分のライフスタイルにあった生理用品を、時には複数チョイスしてほしいですね。
シオリーヌさん:痛くてしんどくてたまらないのに鎮痛剤の使用を控えるのは、やっぱりおすすめできませんね。鎮痛剤は「痛みを薬で楽にしたい」と感じたら服用していいものなんです。
確かに、蚊に刺されてかゆい時にはかゆみ止めを塗るのに、鎮静剤はダメというのは変ですよね。
シオリーヌさん:薬に対してネガティブだったり、「生理くらいで」と自分の場合に当てはめて判断してしまう親世代も少なくないです。鎮痛剤は用法・用量を守ればまったく問題はありません。
ピルはどうでしょうか?
シオリーヌさん:鎮痛剤ではどうにもできないほど生理が重い人は、低用量ピルの服用も検討していいと思いますね。ピルで生理をコントロールできるようになると、生理がとても軽くなりますし、生理不順も解消されます。私自身も以前は低用量ピルを服用していたのですが、服用してはじめて「私って生理が重かったんだ」と気づきましたよ!
自分の生理が重いか軽いかなんて、誰にもわからないですもんね……。
シオリーヌさん:また、試験などの大事な行事と生理が重なっている時には、ピルで生理の日をずらすこともできるんですよ。とはいえ生理周期がわかっていないと薬の服用ができないので、日頃からアプリなどで生理周期を把握しておきたいですね。
シオリーヌさん:このあたりのお悩みは……そうですね。文章だけではどうにも判断ができないので、婦人科への受診をおすすめします。今までコメントをした悩みに関しても同じことがいえますが、なるべく自分だけで判断をしないでほしいですね。
ただ、なかなか婦人科に行きにくいという声も多いですよね。
シオリーヌさん:そうですね。婦人科がどんな場所なのか知らない人が多いということなんですよね。私にもよく婦人科に関する質問は届きます。診察を受けてはじめて、子宮内膜症など婦人科系の病気が見つかる場合もありますから、悩みを抱えているのに受診を躊躇してほしくないですね。
性教育で誰もが個人の身体を
尊重し合えるような社会を
シオリーヌさんはLGBTQや妊活についての話題など、「性」にまつわる本当にさまざまな内容を動画で配信していますよね。
シオリーヌさん:いままで「性」に関して発信をすることは、「下ネタだ、ビッチだ」と揶揄するような声もありました。しかし、正しい知識を全ての人が持つことで偏見はなくなっていくと思います。私が幅広い「性」に関する情報を発信するのは、「すべて包括して性教育」だから。偏見のない世の中にしていくために、私たち問題意識がある大人たちがなんとかするしかないんですよね。
背筋が伸びる話です……。
シオリーヌさん:以前に比べて、タブー視されていた事柄について声を上げる人は多くなりましたが、これを一過性のもので終わらせず、誰もが自分の身体のことを正しく理解し、また他人の身体をのことを尊重できる世にしていきたいですね。
若い世代の場合は、ピルの使用や婦人科受診など、親の協力や理解も必要になりますよね。鎮痛剤を親に止められているといった相談がありましたが、大人自身も知識をアップデートしていく必要があるんだと思います。
シオリーヌさん:そうした説得すら若者の仕事になっているのが悲しいですね。我慢せずに頼れる環境を私たち大人がつくっていかなければいけない。そうした思いもあって、最新(2021年11月現在)の著書『やらねばならぬと思いつつ 超初級 性教育サポートBOOK』は、親世代に向けた性教育の本です。正しい知識を、すべての世代に知ってもらってこそ、誰もが個人の身体を尊重し合えるような社会をつくることに繋がります。そう、性教育は人権や道徳を学ぶのと同じようなことなんですよ。
シオリーヌさんのYouTubeチャンネルはこちら
Another voice
06生理の話をしよう