今までとは違う新しい場所に足を踏み入れるときは、期待と同時に不安があるもの。とくに大学での友だちづくりに不安を持っている人も多いはず。そこで今回は、地元を離れて神戸の甲南女子大学に入学した3人の学生にインタビュー。入学前のSNSの活用や、授業での友だちのつくり方、そして大学での友だちとの距離感についてどう考えているかまで、いろいろ聞いてみました。きっと、少しでも不安が軽くなるヒントや言葉がここにあるはずです。
友達と過ごす時間も、
目標のためにひとりで勉強する時間も、
どちらも大切にしています
A.Kさんは石川県の出身ということですが、どうして神戸の甲南女子大学を目指されたんですか?
A.Kさん:私はいわゆる「保健室の先生」、養護教諭になりたいという夢があるんですが、保健室の先生は採用の倍率も高いので、看護師として働ける資格も取りたいと思って。甲南女子大学の看護学科は「教職課程 養護教諭一種」が用意されているだけではなく、看護師や保健師、助産師の国家試験受験資格を取得できる(※)ので、その点が魅力でした。
※保健師、助産師の各資格取得を希望する場合、どちらかひとつの資格を選択。
※助産師資格選択者は、養護教諭一種免許状を取得できません。
しっかり将来の目標を持っている高校生だったんですね。
A.Kさん:と言いつつ、正直なところ、地元を出て関西で一人暮らしをしてみたいという気持ちも強かったです(笑)。
地元を離れ、新しい環境で友だちづくりをすることに不安はありませんでしたか?
A.Kさん:ありました。友だちづくりは目標のひとつでもあったんですが、入学が決まったのがギリギリだったのでSNSで繋がっておくというようなこともしていなくて。入学式もどんな感じかわからないし早めに行ったら、早すぎちゃってほとんど誰もいないみたいな(笑)。でも、私と同じような子がほかにも2人いて、おしゃべりしてみたら、2人とも違う地方から来た子だったんです。それでちょっと安心しました。
その後、学校生活を送るなかで友だちができたきっかけはどんなものでしたか?
A.Kさん:今、一番仲良くしている子とは、英語の授業で隣の席になったことがきっかけでした。その授業は100人を3つに分けたくらいの規模だったんですが、私が買い忘れていた教科書があって、隣の席だった子にお願いして見せてもらったんです。そうして話をするようになったらすごくいい子で、仲良くなることができました。
ほっこりするエピソードですね……!
A.Kさん:あと、甲南女子大学には「教員アドバイザー制度」というものがあって。先生が、授業のことから人間関係の悩みまで幅広くサポートしてくれるんですね。このアドバイザーグループのメンバーのなかに私と同じ乃木坂46が好きな子がいて、仲良くなることができました。
A.Kさん:このほかにも、看護学科の実習や演習を通して仲良くなることもありました。5人ぐらいのグループで実習したり、演習では2人1組でペアをつくってテストを受けたりするので、同じ課題をクリアしていくための団結力とか信頼感が自然と生まれていって……。おかげで仲良くなれたと思います。
A.Kさんは課外活動などはされているんですか?
A.Kさん:はい。コンサートやスポーツイベントなどのスタッフのアルバイトと、他大学の和太鼓同好会に参加しています。同好会には1年生の夏くらいに同じ学部の子から「めっちゃ楽しいよ」って勧められて参加するようになりました。私は高校まで吹奏楽部で、パーカッションを担当していたんです。同じ打楽器だから、和太鼓もできるかな?って。今は勉強が忙しくなってきて少しお休みしているんですが、メンバーとは仲良くさせてもらっています。
学内でも学外でも、友だちがたくさんできたんですね。
A.Kさん:入学して1ヶ月経ったころからコロナの影響でオンライン授業に切り替わって、学校にも行けないから「どうやって友だちをつくったらいいんだろう」と結構悩んだりもしたんです。でも、だんだんと「ひとりでも大丈夫だな」と思えるようになっていって。慣れてきたこともあったんだろうと思うのですが、対面授業が復活して、キャンパスを歩いているときに、ふと、ひとりで行動している人が多いことに気づいたんですね。そうしたら、なんだかこれまで以上に勉強に力を入れたくなったんです。友だちと過ごす時間も大事だけど、ひとりの時間を持って目標に向かっていくことも大事。今はそんなふうに考えるようになりましたね。
看護リハビリテーション学部 看護学科についてはこちら(大学公式サイトへ)
相手が好きな物事には、
自分も1回興味を持ってみるようにしています
M.Kさんは広島県の出身なんですね。なぜ神戸にある甲南女子大学を選んだんですか?
M.Kさん:実は姉が甲南女子大学の看護学科の出身だったので、大学の存在は知っていました。でも選ぶきっかけになったのは大学のホームページです。子どもにかかわる保育などを学びたいと思っていろんな大学のホームページを見てみたんですが、甲南女子大学の理念や姿勢、保育の考え方が自分に合っていると感じたんですね。しかも、ホームページの説明もわかりやすくて、スッと入ってきたというか。将来子どもを相手にする時、わかりやすく伝える力って大事だと思うので、それができている大学なら信頼できるなって思ったんです。
細やかなところまで考慮してくださったんですね。では、入学前にはSNSで新入生と繋がるなどの行動もしましたか?
M.Kさん:いえ、私はしていないんです。SNSに「#春から南女」というハッシュタグがあることは知っていましたし、気にはなっていたんですが、「たぶん対面で仲良くなるんだろうな」と思って。大学には高校の友だちもいないし、見知らぬ土地だし、すごく不安はありました。でも、きっとみんな同じような不安は抱えてやってくるんだろうなって。だから、SNSで繋がるより対面で実際に会って話して仲良くなりたいという気持ちが強くあったんです。
なるほど。実際は、どうなりましたか?
M.Kさん:最初の入学式でできました!(笑)。私の場合、入学式の日に祖父の体調が悪くなってしまって、母が直前に実家に戻ってしまったんです。ひとりなのは思った以上に不安が大きく……、予定時刻よりも早く来てしまって。そのとき、ちょうど前を歩いていた子が「入学式の会場はどこですか?」って先生に聞いていて、その先生に案内をしてもらうところだったんです。私も会場がわからなくて困っていたので、すかさず「私もいいですか?」って割って入って(笑)。そのあとも、その子とは式がはじまるまでおしゃべりして、会場に入ってきた子にも声をかけて……。そんな感じで、最初の友だちができました。
入学式は早く来ると、出会いが待っているのかもしれませんね。
M.Kさん:あと、最初の授業がオリエンテーションみたいな感じで、自分の紹介をほかの人がしてくれるというのをやったんです。
「自己紹介」ならぬ「他己紹介」というやつですね。
M.Kさん:はい。4人グループの班に分かれて、自分で書いた自己紹介カードをもとに、ペアで相手の良いところやアピールポイントを発表していくんです。これだと、より相手のことを深く知りたいと思えるし、あと、発表を見守るクラスの空気もすごく温かくって……。その授業を受けていた子たちとはとても仲良くなれて、今も“いつメン”(いつものメンバー)って感じで一緒にいますね。
早い段階で気の合う友だちと出会うことができたんですね。
M.Kさん:あとは、学年の違う友だちもできたんですよ。というのも、ほとんどの人が1年生で取る科目を私は2年生の後期で取っていて。まわりはほぼ1年生というアウェイ状態で、最初の自己紹介のときに2年生だと告げたら途端に敬語を使われたりして(笑)。でも、グループワークをきっかけに話をはじめたら、とても気の合う子がいたんです。1年生のなかに混ぜてもらっていたような感覚だったのに、本当に仲良くなって、今では恋バナなんかもしたりする関係になりました。
学部や学科だけではなく、学年をこえて仲が深めやすいのは、甲南女子大学の特長かもしれませんね。
M.Kさん:高校のときと違って大学では取っている授業によってメンバーが違うので、そこは大きい気がします。高校は誰かひとりに嫌われたら結構しんどかったりするけれど、大学はひとりでもやっていこうと思えばやっていけるし、合わない人がいたとしても、適度な距離感で関わることができる。大学は、自分にとって居心地のいい場を自分で選べるところですよね。
本当にそうですね。
M.Kさん:ただ、「積極的に声をかけてみる」ということは大事にしているんです。挨拶されて嫌な人はいないでしょっていうマインドで、とりあえず声をかけるという(笑)。そんな大層なことではなくて、たとえば持ち物とかを見つけて「それは何?」「かわいいね」とか。あと、自分が知らないことやあまり興味がない分野の話を教えてもらったときに、否定したりせず、1回興味を持つことも大切かなって思っています。その子が好きっていうことは、自分が知らないだけで、きっと魅力があることのはずだから。私の場合は、そうやって関係をつくっていっている気がします。
人間科学部 総合子ども学科についてはこちら(大学公式サイトへ)
少人数制のクラスや
全学共通科目の授業を通じて、
友だちができました
H.Oさんは広島県出身とお聞きしました。どうして神戸にある甲南女子大学に決めたんですか?
H.Oさん:テーマパークやホテルなどの観光の勉強をしたいという思いがあったんですが、地元の大学には思ったような学科がなく、甲南女子大学の文学部日本語日本文化学科なら私が学びたいことが学べそうだ、と。それで高校3年生の夏にオープンキャンパスに参加して、「あ、ここに行きたいな」って。
知り合いがいないことに不安はありませんでしたか?
H.Oさん:多少はありましたが、それほどでもなかったです。というのも、中学校から高校に上がるときも同じ中学校出身の子が男子2人しかいなかったんですが、それでも高校生活を楽しく過ごすことができたという体験があったので。あと、地元には同じクラスの大半の子が進学する大学もあったのですが、環境が変わらないのも面白くないなと思って……。むしろ、友だちができるかどうかよりも、はじめての一人暮らしのほうが不安でしたね。本当にひとりで生きていけるのかな? って。こっちに引っ越して来た日なんかは、お母さんとおばあちゃんが泣いちゃって、私も泣いてしまったり(笑)。でも、今ではすっかり一人暮らしにも慣れました。
SNSでは「#春から南女」というハッシュタグがあったりしますが、H.OさんはSNSで友だち探しをしたりしましたか?
H.Oさん:SNSでの繋がりはあまり重要視していなかったけど一応チェックしていました。まずTwitterで見て、気をつけながらも、繋がった人とInstagramを交換する、というようなことはありました。でも、はじめて友だちができたのは、大学のクラスがきっかけでしたね。
大学でのクラスというのは、どういう感じなんですか?
H.Oさん:日本語日本文化学科では最初に15人ぐらいのクラスに分けられるのですが、クラスごとの授業が毎週1回はあるので、すごく仲良くなりやすいんです。私の場合、クラスに好きなものが近い子がいたり、同じ広島出身の子がいたりして、それで距離が縮まっていきました。
「好きなものが近い」というのは?
H.Oさん:私の推しがジャニーズのグループにいるんですけど、同じジャニーズのほかのグループを推している子がいたりして。それでジャニーズの話をしたり、コンサートに一緒に行ったりするようになりました。Instagramのストーリーとかでも、好きなものがわかると共通点が見つかるので、話のきっかけになることは多い気がしますね。
なるほど。共通の推しや趣味って、友だちづくりでも大事なんですね。
H.Oさん:あと、全学共通科目の授業では他の学部や学科の子とも仲良くなることができました。たとえば、「キャリアデザイン」という共通科目の授業ではグループワークが多く、必然的におしゃべりする機会が生まれるので、友だちになりやすいんだと思います。私の場合も、そこで医療栄養学科や総合子ども学科の友だちができました。
H.Oさんはバレーボール部にも所属しているんですよね。
H.Oさん:はい。小学校からずっとバレーボールをしてきたので、大学でも続けています。
ちなみにポジションはどこですか?
H.Oさん:守備を専門にするリベロです。
かっこいい!
H.Oさん:スパイクがあまり得意ではないので(笑)。バレーボール部は本当に優しい先輩たちばかりなんですよ。一人暮らしをしている先輩が一緒に歩いて帰ってくれたり、同じ学科の先輩は「どんな授業を取るといいですかね?」なんていった相談にもアドバイスしてくれたり、部活していて良かったと思うことはとても多いですね。
知り合いゼロではじまったとは思えないほど、充実した大学生活を送っているんですね。
H.Oさん:私は人と話すのが得意というわけではないですが、人見知りするタイプではないんです。なので、授業で同じになった子にも「これってどういうことかな?」と声をかけたりして、それで知り合いも増えていったような気がします。最初は顔も名前もわからなくて不安になるかもしれませんが、クラスや全学共通科目など、甲南女子大学には友だちがつくりやすい環境があるので、そこは心配しなくても大丈夫だと思います!
文学部 日本語日本文化学科についてはこちら(大学公式サイトへ)
甲南女子大学のクラブ・同好会の一覧はこちら(大学公式サイトへ)
※SNSでの「#春から〇〇」といったハッシュタグは、新入生同士が入学前に繋がれるメリットがありますが、なりすましや、悪質な勧誘、詐欺などの危険性もあります。安易に個人情報を提供せず、トラブルに巻き込まれないようご注意ください。
※記事に記されている所属・役職等は取材時のものです。既に転出・退職している教員、卒業している学生が掲載されている場合があります。
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12大学生の友だち事情